ステップ1はまず自分のどうしようもない弱さを認めることを求められます。
そして過剰なプライドを捨てることを要求されます。
過剰なプライドは心のバリヤーとなり、人の意見、AAの教えが体に入るのを妨げます。
それを消すことによってそれらが体の中に入るのです。
しかし逆を言えば他人の意見を、周りの環境を受け入れやすいということは
逆の悪い影響も受けやすい状態でもあるのです。
だからこそステップ1を始めた初期の仲間はAAミーティングに出席を続け、
ギャンブルや酒場、その他の悪い影響を与えるところを
避けなければいけないのです。
とにかくミーティングに出ることが大切なのですと。
AA行動は私はステップ6を実践することだと思います。
ステップ1、2、3はアルコール依存症であることを認めて、
偉大な力を信じて、そしてそれに心をゆだねる工程だと考えています。
そしてステップ4、5は自分の欠点を書き出し(たな卸し)てそれを認める工程です。
以上のステップ1~5は全て自分の頭の中でやること、
ないし机上のノートでやるものです。
ステップ6に「大人と子供を分けるステップ」、
「神の御姿になろうとする努力」、「不断の努力」とあるとおり
ステップ6から行動が求められるのです。
私はステップ6というのは自分の心に山を作るようなものだと考えています。
ステップ6における行動は誰に対して行っても構いません。
AA、中間施設、そして普段の生活において自分の欠点を認めて、
その上で善行をすればよいのです。AA会場の準備、片付けの手伝いをする、
困った人を助けてあげる、人に代わって何かをしてあげる。
何でも、誰にでもいいのです。「行動を求めるステップ」には
もうひとつステップ9があります。
このステップ9はステップ7で自分が過去迷惑かけた人と行動の表を作り、
ステップ8でそれらを認めて、そしてその埋め合わせの行動をするステップです。
つまりステップ6における行動が誰にでも、どこでやってもいいのに対して
ステップ9は迷惑をかけた人のところに行って、
罪を懺悔(ざんげ)しそして行動をもって埋め合わせをしなければいけないのです。
同じ行動を実践するステップでもステップ6と9や大きな違いがあります。
ステップ6は繰り返しになりますが心に山を作ります。
山を作る土は正しい方法で行えば自分の体から湧き出て
質量保存則に反することなく(心の中ですから)山を作ることが出来ます。
しかしドライドランクにおちいって間違った方法で山を作ろうとすれば、
やはり心に穴を開けてしまうでしょう。
私たちアルコホーリクは例外なく心に深い穴を持っています。
私たちの過去の愚行によりあけてしまった穴です。
ステップ9はそれを埋める行動を求めるステップです。
しかしAAメンバーにはステップ6と9を混同している人が実に多いです。
自分が過去迷惑をかけた人ではなく、AAや中間施設、
またメッセージとして病院にいって赤の他人に善行を施せば
過去の愚行の埋め合わせを出来ると思っているのです。
そういう人間は例外なくドライドランクにおちいっており、
自分の心に開いた穴が見えていません。
なぜ見えないのでしょう。自分の築いた山を見上げるあまり、
また山の影に隠してしまうためにその穴が見えないのかもしれません
(赤の他人に善行をしているだけで、
本来償いをすべき人にしてない行動を比喩しています)。
もしくは自分穴があることは知っていても、
それを直視するのが恐ろしくてステップ6だけを行うことだけで
目をそらしているのかも知れません。
もしくは自分がその山に登ってしまい、
下にある穴がかすんで見えなくなっているのかも知れません。
繰り返し言いますが同じ行動でもステップ6と9は違うのです。
ステップ9は遥かに勇気を要求されるステップであり、
決してステップ6で代用は出来ないのです。
ステップ9を行うために貴方はその穴に近づかなければいけません、
その穴を埋めるためにはステップ6で積み上げた山の土を
使わなければいけないでしょう。その結果必ずその山は低くなるでしょう。
貴方はやり方を間違いその穴に落ちるかも知れません。
貴方がもしその山に登っている状態だったら足場を失いその山から転げ落ち、
更にその穴に落ちるかも知れません。
だからこそステップ9は遥かにステップ6より困難な「行動」なのです。
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